君に [想い]
あの子に
こころを寄せてほしい
やさしく手をさしのべてほしいと
地面に倒れ伏した
手負いの
瀕死の獣が
痛みと恐れの中で
思う
それを
弱さとか迷いというには
僕はあまりにも
自立する身体を知らない
心の自由を知らない
風が吹きぬける
なんだろうか
そばに居てほしい
今だけは
君に
そっと寄り添っていてほしい
歴史の熱情 [想い]
そうか、悲しくてもいいのだ
と、歴史が教えてくれた
過去に希望はないのかもしれないけど
人間の弱さを包む寛容がある
どうも包容力っていうのは
“どうにもならなさ”ってところから
でてくるように思える
矛盾をも抱きとめる虚無といったもの
虚無こそ人の悲しいダイナモのようで
行くあてもない意志の
痛む熱情知ったなら
昨日にまさる恋しさに
破れんまでに嘆くのだ
僕は苦しい [想い]
難しいと
つくづく思うのだ
ただでさえの・・、世の中で
病に生きるということは
手も足も出ず
悶えた果てに
何のことはなく
あっけらかんとしている
そんな僕なんぞが
はっきりと言えることは
生きることは苦しいということだけ
そう言えば、誰かがが言ってたよ
苦しみには嘘がないと
その通りだ
愛のような差違もなく
うしろめたさもなく
はっきりとくっきりと誰にもある
万物のエッセンス
僕は苦しい
恥ずかしくもない
それだけは言える
衝動
ある粗暴で孤独な目が
心なんて
まるで無いもののように
子供を奪い
母を奪い
愛を奪い
いっさいを土にかえし
消し去ろうとしている
いったい、なんだというのだ
原始の血が
目からあふれだして
故郷を焼く
人に救いなく
ただ無意味で野蛮な衝動だけが
僕を君から突き放す
南無
こんな時にも
やさしい姿で葉っぱが
風に吹かれ
無防備にその裏側を
僕にちらちらと見せてくれている
ああ、仏よ、僕こそ救え
ありありと痛み
光に痛み
陰に痛み
僕は生きれるだろうか